増える2学期制、導入の公立小中が5年で倍(読売新聞)

 学ぶ内容や授業時間が増える新しい学習指導要領の完全実施を前に、何とか授業時間を確保しようと、行事を少なくできる「2学期制」の導入や夏休みを短縮する動きが公立小中学校を中心に広がっている。

 来年春から小学校で使われる教科書も分厚くなるだけに、教師の間では「内容をしっかり教えるには時間が必要」との声が強まる一方だ。

 「特に高学年で授業時間の余裕がないので多いに越したことはない」

 今春から2学期制を導入し、授業14時限分を積み増した新潟市立曽野木小の青木祐一校長(57)が話す。同市の市立小では従来の83校に加え同小など4校が新たに2学期制を取り入れ、全体で75%を超えた。

 2学期制は、10月の連休などを境に1年を二つに分ける。従来の3学期制に比べ、始業式、終業式を1回分省略することなどにより10〜15時限ほど授業時間を確保できるほか、教師が通知表作成などにかける時間を子供と向き合うために使うことも可能だ。

 文部科学省の調査では、2009年度、2学期制を実施している公立小は21・8%(4668校)、公立中23%(2284校)。04年度の9・4%、10・4%からそれぞれ倍増した。

 来春から使われる新しい小学教科書では、算数、理科で現行と比べ平均ページ数が30%以上増える。福岡市のモデル校として2学期制を試行する市立博多小の中島健次教頭(45)は「分厚い教科書でも授業ができるゆとりがほしい。2学期制は広がるはず」と語った。各教委によると、東京の江東、目黒、足立、東村山など11区市、仙台、千葉、静岡、北海道・石狩市などでは全公立小中で導入済み。横浜市も小学校は7校を除く338校で取り入れている。

 「通知表の回数が減ると子どもの成績が把握しにくい」といった保護者らの声を受け、3学期制に戻したケースもあるが、「1時間でも授業時間を生み出したいのが現場の本音」(横浜市教委)という声が強い。

 一方、09年度から夏休みなど長期休業を短縮したところも、公立小10・5%(2257校)、公立中8・9%(883校)で「増加傾向が続いている」(文科省教育課程課)。

 夏休みの短縮は、東京では足立、板橋、江戸川区などですでに全公立小中に広がり、武蔵村山市でも今年から全公立小で始める。

 江戸川区立小岩小は、昨年に続き、夏休みを5日短くするほかにも、学年によって新指導要領の標準より週1〜2時限、授業時間を多く確保した。東京都算数教育研究会副会長でもある子安茂同小校長(58)は、新教科書では中学から移ってくる内容もあると指摘、「初めて教える若手教師は授業時間が足りるか不安を抱えている。丁寧な授業ができるよう環境を整えたい」と話す。

 一方、学校のカリキュラムに詳しい国立教育政策研究所の葉養(はよう)正明教育政策・評価研究部長は「現場の努力で授業時間を増やすのは限度がある。教委が音頭をとり、教員免許を持った地域ボランティアの活用で補習を取り入れるなど工夫が必要だ」と指摘している。

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